高野正晃

制作テーマ

このごろ、涙がすぐ出てきてしょうがない。
ウルッとすぐになってしまう。
確かに昔から涙もろかったが、これは「震災」が少なからず影響しているのは確かなようだ。
あの日、僕は地元いわきで個展の真っ最中だった。
揺れ続けるギャラリーで、自分の作品が宙を舞い、床に叩きつけられていくのを、ただただ眺めているしかなかった。
全て壊れた。作品も・・・、自分の心も・・・、生活も・・・。
制作など出来ない。考えられない。生活に追われる日々が続いた。
夏ごろ、小学校の子どもたちと粘土のワークショップをすることになった。
久しぶりにその準備の為に2トンの粘土を練った。
何日もかかって練りあがった粘土の山で遊ぶ子どもたちの眼が、表情が、僕の心を揺さぶった。
笑っているのに、楽しいのに、涙が出てくる。
今もその粘土を練って作品をつくっている。
時はながれてゆく。
自分を取り巻く環境も変わってゆく。
それでも僕は、この粘土を練ってはつくる。
明日も明後日も練ってはつくる。
作品は自分自身の生き様が出ると思う。
今の僕の仕事は本当の自分なのか。
先の見えない不安な日々は、今も何も変わっていない。
それでも僕は粘土を練ってはつくってゆきたい。
僕はそれしかできない。
僕にはそれしかない。

経歴

1965    いわき市勿来町生まれ
1990    武蔵野美術大学大学院造形研究科彫刻専攻修了
1996    「NEWART SCENE IN IWAKI   髙野正晃展」(いわき市立美術館)
2000    「境界を超えて いわきの美術V」(いわき市立美術館)
2001    「ARTMEETING田人の森に遊ぶ」(いわき市田人町)’02’09 ‘13 ‘14’16。
2008    「Art!port!Onahama 2008」(いわき市小名浜)
2009    「いわきぐるっとコレクション」(いわき市立美術館)
2011    「いま。つくりたいもの、つくりたいこと」(いわき市立美術館)
2013    第77回新制作展  新作家賞受賞(国立新美術館) ’15 第79回も同賞受賞。
2014    新制作展 受賞作家展 (ギャラリーせいほう/東京) ’16同。            
        「藝大Am+いわき 期間限定 アリオス現代美術館!」(いわき芸術文化交流館アリオス)
        「コレクションクッキング」 (福島県立美術館)       
        その他 個展、グループ展多数
現在:武蔵野美術大学共通彫塑研究室非常勤講師 
        福島県展招待作家